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  • 生と死を別つ境界の古井戸
  • Sound Horizon
  • M?rchen

  • 怠惰(Tragheit)……

  • 「おや、君も落ちてしまったのかい?
  • 初対面の筈だが、この奇妙な親近感は、一体何処からやってくるのだろうね。
  • まぁいい。君は何故生と死を別つこの境界を超えてしまったのか。
  • さぁ、唄ってごらん……」

  • Sound Horizon 7th Story CD 「M?rchen」
  • Track05 生と死を別つ境界の古井戸
  • 作詞.作曲.編曲:Revo
  • 唄:Maerchen von Friedhof / Ceui / 井上あずみ / 石井千夏 / MIKI

  • 陽が昇り 嗚呼 汗塗れ 炊事洗濯全て 私の仕事
  • 嗚呼 意地悪な 寡婦(はは)の口癖
  • 「追い出されたいのかい?この愚図っ!」
  • なんて言うけれど――
  • 私は今日も お父さん(Vati) 頑張っているよ!

  • 陽が落ちて 嗚呼 塵まみれ 炊事洗濯全て 押し付けた
  • 嗚呼 性悪な 妹の口癖

  • 「言い付けられたいのかい?この愚図っ!」
  • なんて言うけれど――
  • 私は今日も お父さん(Vati) 頑張っているよ!
  • 「父は舟乗りだったのに、何故か井戸に落ちて死んだらしい。
  • だから私は、あまり井戸が好きではない。
  • それでも継母(はは)は、容赦などしないのだ……。」

  • 井戸の傍で、糸を紡ぐ、指先はもう……
  • 嗚呼、擦り切れて緋い血を出して、
  • 紅く糸巻きを染め上げたから
  • 洗い流そうと井戸を覗き込んだら、
  • 水に焦がれる魚のように手から飛び出して、
  • その糸巻きは、井戸の底に沈んだ。
  • 悲恋に嘆く乙女(Loreley)、正にそんな勢いで――
  • 泣きながら帰った私に容赦なく、継母(はは)は言い放った――
  • 「この愚図っ!潜ってでも取ってきなっ!じゃなきゃ晩飯は抜きさっ!」(「この愚図っ!」  「取ってきなっ!」  「晩飯は抜きさっ!」)
  • 道急ぐ背中に、宵闇が迫っていた……
  • 「どうしよっか、お父さん(Vati)!最悪、そっちに行きます!セイッ!」(3 2 1 0(Drei Zwei Eins Null))

  • 「なるほど、君も中々健やかに悲惨な子だねぇ。
  • 復讐に迷いがあるのなら、時間をあげよう。
  • この教会の古井戸の中で、もうしばし、
  • 憾みについて考えてみるといい」

  • 目覚めれば綺麗な草原。
  • 幾千の花が咲き誇る。
  • 異土へ至る井戸の中で、衝動(Id)を抱いた男(Id)に遇って、彼の指揮で憾み唄った。私は――
  • 死んじゃったの?天国なの?気の【ceui(セイ)】なの?分からないわ。
  • 大丈夫!でも私は頑張るよ!お父さん(Vati)、何時だって!
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  • 「こまっちゃった。あたしを、ひっぱりだしてぇ。ひっぱりだしてぇ。
  • もう、とっくのむかしにやけてるんだよぅ」 「マジでぇ?」
  • 「こまっちゃった。ぼくを、ゆすぶってぇ。ゆすぶってぇ。
  • もう、みんなじゅくしきってるんだよぅ」 「わお!」
  • 喋るパンの願いを聞いて
  • シャベルで全部 掻き出してあげたわ

  • そして――
  • ひとつ残らず 実が落ちるまで 林檎の木を揺らし

  • その後――
  • 散らばる林檎を 積み上げるだけの 簡単なお仕事
  • 「ベース(Base)!」
  • 「ギター(Gitarre)!」
  • 「ピアノ(Klavier)!」
  • 「ありがとうございます(Danke schoen)!」

  • 「元気のいい子だねぇ…」 「キャー!」
  • 「アハハハハハッ、怖がらなくていいのよ」
  • 「あっ、貴女は、ひょっとしてあの、お伽話によく出てくる、ホレおばさん!?」
  • 「まぁ、口の悪い子ねぇ。おばさんじゃなくて、お姉さん、と呼びなさい。」

  • 「形あるモノは、いつか必ず崩れ、
  • 命あるモノは、いずれ死を迎えるのさ
  • これまで、よく頑張ったね。お前は強い娘だね。
  • でもこれからは、私のもとで働くなら、きっと幸せになれるわ!」
  • 「うんっ、私頑張るっ!」

  • 嗚呼 綺麗に舞い散る羽ぶとん 振るうのが新たな私の仕事
  • 嗚呼 地上に舞い落ちる雪の花 降るのは灼かな私の仕業
  • 「キミが、もし冬に逢いたくなったら、私に言ってねぇん」
  • 「あいたっ!」
  • 「これ!調子に乗るんじゃありません!
  • けれどまぁ、あなたも今日まで、陰日向無くよく働いてくれたわ。
  • 帰郷の願い、特別に叶えてあげましょう。ホレッ!」

  • 大きな門が開くと 黄金(きん)の雨が降ってきて
  • あっという間に 全身 覆った……

  • 「それは君の働きに対する報酬だ。
  • まぁ、遠慮なく貰っておきたまえ。
  • もっとも、君の勤務態度が不真面目だった場合、
  • 別のものが降ってきていたのかもしれない……」

  • 「キッケリキー!うちの、黄金(きん)のお嬢様のお帰りだよぅ」
  • 「ただいまぁーっ!」

  • 日が替わり 嗚呼 黄金(きん)塗れ 炊事洗濯全て やらなくて良い!
  • 嗚呼 低能な 継母(はは)の入れ知恵
  • 「貴女も貰っておいで《可愛い実子(チビちゃん)》!」「うん、あたい、がんばる…」
  • なんて言うけれど――
  • やれるものなら どうぞ 頑張っておいで!
  • 「さぁ、復讐劇の始まりだ……」[!--empirenews.page--]

  • 「キッケリキー!うちの、バッチィのお嬢様のお帰りだよぅ」「うう…えっくえっく」

  • 日が過ぎて 嗚呼 瀝青(チャン)塗れ
  • ほら 怠惰な態度が 貴女の罪よ 自業自得だわ ねぇ――
  • これからは貴女も 必死に頑張ってみなよ!
  • 「やだ!取れない!取れないよ!やだやだやだ取って!取ってよムッティ!」
  • 「まま、やだ取って取ってよ!やだやだやだ!」「あら、いいじゃない。お似合いよ、チビちゃん!あははははっ!
  • 「取れない!やだやだ!取ってよ!」「こんな良い子が、どうしてこんな酷い目に!?」
  • 「やだー!」

  • 「今回は随分とかわいい復讐だったねぇ」
  • 「アラ、一生瀝青塗レナンテ、
  • 女ノ子ニトッテハ死ヌヨリ辛イ罰ダワ!アッハハハハ!」