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薔薇の塔で眠る姫君

Sound Horizon

Marchen

傲慢

「薔薇の塔で眠る姫君」

Lyrics,Composed,Arranged by Revo

Vocal,Chorus by Sound Horizon

「呪(のろ)いと祝(いわ)いの境界(きょうかい) 乙女(おとめ)が落(お)ちた闇(やみ) 深(ふか)い微睡(まどろ)みの中(なか)」

「薔薇(ばら)の塔(とう) 眠(ねむ)る姫君(ひめぎみ) 君(きみ)は何故(なぜ)、この境界(きょうかい)を越(こ)えてしまったのか。

さぁ、唄(うた)ってごらん。」

微睡(まどろ)みの森(もり)に踊(おど)る 百(ひゃく)の孤独(こどく)と

月影(つきかげ)に蝶(ちょう)は朽(く)ちて 死(し)の夢(ゆめ)を見(み)る

【七の罪科】

野(の)ばらに抱(だ)かれて 眠(ねむ)る理由(わけ)は……

水浴(みずあ)びた妃<母>(はは)が聴(き)いたのは 身籠(みかご)もり告(つ)げし 蛙(かわず)の声(こえ)

「お望(のぞ)みの御子(みこ)が、一年(いちねん)経(た)たずに、お生(う)まれになるでしょう」

歓(よろこ)びて父(ちち)が催(もよお)したのは 姫<私>(わたし)の誕生(たんじょう) 祝(いわ)う宴(うたげ)

黄金(おうごん)の皿(さら)が 一枚(いちまい)足(た)りずに 事件(じけん)は起(お)こってしまった……

【七の罪科】

恋(こい)も知(し)らずに 死(し)せる処女<おとめ>が

【七の罪科】

野(の)ばらに抱かれて 眠(ねむ)る理由(わけ)は……

「おーよくぞ参(まい)った」

「お招(まね)きいただき光栄(こうえい)ですわ、陛下(へいか)。

姫様(ひめさま)へのお祝(いわ)いに、美徳(びとく)をお送(おく)りいたしましょう」

「私(わたくし)は美貌(びぼう)を！」

「それでは私(わたし)は富(とみ)」

「では私(わたし)は…」

「あぁら！これはこれは皆様(みなさま)お揃(そろ)いで。」

「おおう！」

「今宵(こよい)もご機嫌(きげん)麗(うるわ)しいようで、結構(けっこう)ですこと。」

「 全(まった)く、いい面(つら)の皮(かわ)だね！！」

「失礼(しつれい)な！」

「国中(くにちゅう)に散(ち)らばる、神通力(じんつうりき)を持(も)つ賢女達(げんじょたち)を全(すべ)て、招(まね)いておきながら…

私(わたし)だけ招(まね)かぬ傲慢(ごうまん)なる王(おう)よ、祝(いわ)いの宴席(えんせき)に呪(のろ)いを添(そ)えてやろう！」

「姫(ひめ)が抱(だ)く運命(うんめい)、僅(わず)か余命(よめい)十五年(じゅうごねん)。

紡錘<つむ>にされて、床(ゆか)に倒(たお)れて、死(し)ぬがいい！」

「いいえ―」[!--empirenews.page--]

「《十三人目の賢女》よ。不吉(ふきつ)な言(こと)の葉(は)。退(しりぞ)けよう。

百年(ひゃくねん)。死(し)んだと見(み)せて、寝台(しんだい)の上(うえ)、唯(ただ)、眠(ねむ)るだけ！」

「ならば、どちらの力(ちから)が、上回(うわまわ)っているか、嗚呼(ああ)、流(ながれ)る時(とき)のみぞ識(し)る……」

「十五年後(じゅうごねんご)が楽(たの)しみだねぇ、【Aprikose】？」

「どうかしら？」

朝(あさ)と夜(よる)は繰(くり)り返(かえ)す。

望(のぞ)もうとも、望(のぞ)まざろうとも。

光陰(こういん)は矢(や)の如(ごと)く過(す)ぎ去(さ)り、大樹(たいじゅ)にも幾(いく)つかの年輪(ねんりん)を刻(きざ)む。

齢(よわい)十五(じゅうご)の朝(あさ)を迎(むか)えることとなった、そんな私(わたし)が……

【七の罪科】

野(の)ばらに抱(だ)かれて 眠(ねむ)る理由(わけ)は……

「どきどきだわ」

燭台(しょくだい)の揺(ゆ)れる焔(ひかり) 仄昏(ほのぐら)い闇(やみ)を照(て)らす 石壁(いしかべ)の部屋(へや)を廻(まわ)り 古(ふる)い塔(とう)へ上(あ)がる

狭(せま)い螺旋型<ねじ>の 階段(かいだん)を昇(のぼ)ると 部屋(へや)の中(なか) 独(ひと)り 老婆(ろうば)が麻(あさ)を紡(つむ)いでいた

「こんにちは、お婆(ば)さん。ここで何(なに)してるの？」

「糸(いと)を取(と)っておりますのじゃ」

「じゃあ、それなぁに？面白(おもしろ)そうに、ぐるぐる跳(は)ね回(まわ)っている物(もの)？」

「なるほど、それで君(きみ)は野(の)ばらに抱(いだ)かれた訳(わけ)だね。

目覚(めざ)めへと至(いた)る、接吻(くちづけ)が欲(ほ)しいのかい？

だが、残念(ざんねん)ながら私(わたし)は君(きみ)の王子様(おうじさま)じゃない！

さあ、もう暫(しば)し。運命(うんめい)の相手(あいて)は、夢(ゆめ)の世界(せかい)で待(ま)つものさ」

僕(ぼく)の理想(りそう)の花嫁(はなよめ)は 何処(どこ)にいるのだろう？

嗚呼(ああ) 西(にし)も東(ひがし)も 北(きた)も南(みなみ)も 雨(あめ)にも負(ま)けず 風(かぜ)にも負(ま)けず

捜(さが)したけれど 見(み)つからない……と思(おも)ってた矢先(やさき)に

素晴(すば)らしい 噂(うわさ)を聞(き)いた――

～野(の)ばらの生垣(いけがき)に 抱(いだ)かれた白亜(はくあ)の城(しろ)

空(そら)を望(のぞ)む薔薇(ばら)の塔(とう) 眠(ねむ)る美(うつく)しい姫君(ひめぎみ)～

嗚呼(ああ) 唯(ただ) 野(の)ばら姫(ひめ)の伝説<言(い)い伝(つた)え>を 聞(き)いただけで 運命(うんめい) 感(かん)じた

彼女(かのじょ)こそが きっと僕(ぼく)の 《捜し求めていた女性》<エリス>なのだろう

ならば どんな困難(こんなん)も 乗(の)り越(こ)えてみせよう！

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迷(まよ)いの森(もり)の 霧(きり)が晴(は)れてゆく

僕(ぼく)を誘(いざな)ってくれるのか？愛(いと)しい姫のもとへ

棘(とげ)の生垣(いけがき)が 口(くち)を開(あ)けてゆく

僕(ぼく)を導(むちび)いてくれるのか？愛(いと)しい彼女(かのじょ)のもとへと――

燭台(しょくだい)の揺(ゆ)れる焔(ひかり)、微睡(まどろ)んだ闇(やみ)を照(て)らす。

石壁(いしかべ)の部屋(へや)を飛(と)ばし、古(ふる)い塔(とう)へ上(あ)がる。

狭(せま)い螺旋型<ねじ>の階段(かいだん)を上(のぼ)ると――

部屋(へや)の中(なか)、独(ひと)り、乙女(おとめ)が横臥(よこがわ)っていた……。

「さぁ、姫(ひめ)よ。心(こころ)の準備(じゅんび)はよろしいかな？」

「いただきます」

「復讐劇(ふくしゅうげき)の始(はじ)まりだ！」

(予定調和な王子の接吻で姫が目覚めると、)

(役割を終えた野ばらは、立ち所に立ち枯れて朽ち果て、)

(長過ぎる午睡を貪っていた城の愉快な面々も、)

(何事も無かったかのように、彼等の愉快な日常を再開した。)

【七の罪科】

気高(けだか)き王女(おうじょ)を呪(のろ)うなんて

【七の罪科】

傲慢(ごうまん)なのはお前(まえ)の方(ほう)よ

「誰(だれ)ぞ！AlteRoseを捕(と)らえよ！」

「もう二度(にど)とこの国(くに)の土(つち)を踏(ふ)めぬものと思(おも)え！」

「野(の)ばら姫(ひめ)よ！忘(わす)れるな、置(お)き土産(みやげ)にもう一(ひと)つ呪(のろ)いをくれてやろう！」

(――そして彼女は、生まれた姫を森に捨てることとなる……。)

「アレハ転(コロ)ンデモ、タダジャ起(オ)キナイ女(オンナ)ネ」

「ご婦人方(ふじんかた)の矜持(きんじ)を傷付(きずつ)けると、恐(おそ)ろしいことになるんだね。」

「アラァ、当然(トウゼン)ヨ！」

終わり