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硝子の棺で眠る姫君

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Marchen

嫉妬

「硝子(がらす)の棺(ひつぎ)　眠(ねむ)る姫君(ひめぎみ)

君(きみ)は何故(なぜ)この境界(きょうかい)を越(こ)えてしまったのか？

さあ、唄(うた)ってごらん…」

真雪(まゆき)の肌(はだ)は白(しろ)く 黒檀(こくたん)の髪(かみ)は黒(くろ)く

血潮(ちしお)のように赤(あか)い唇(くちびる) 冬(ふゆ)に望(のぞ)まれ産(う)まれた私(わたし)

柔(やわ)らかな温(ぬく)もり 過(す)ぎ去(さ)りし春(はる)の匂(にお)い

甘(あま)く切(せつ)ない痛(いた)み遺(のこ)して 生母<はは>は遠(とお)くへ逝(いい)ってしまった……

「鏡(かがみ)よ鏡(かがみ)……此(こ)の世界(せかい)で一番(いちばん)、美(うつく)しいのは、誰(だれ)なのかしら？」

「其(そ)れは貴女(あなた)――《王妃様》！」

継母(ままはは)は冷(つめ)たく 亡母(なきはは)の愛(あい)を憶(おも)いだし

独(ひと)り抱(だ)きしめ虚像(きょぞう)と踊(おど)る 月日(つきひ)を重(かさ)ね娘(むすめ)に成(な)った……

「鏡(かがみ)よ鏡(かがみ)……此(こ)の世界(せかい)で一番(いちばん)、美(うつく)しいのは、誰(だれ)なのかしら？」

「其(そ)れは貴女(あなた)――《王妃様》でしだが……

今(いま)では彼女(かのじょ)――《雪白姫》！」

「姫(ひめ)ぇー！」

「こっちこないで！」

「いや！」

「無理(むり)－－－－！！！」

「姫(ひめ)ぇ！」

「狩人(かりうど)の爺(じい)やに　追(お)いかけられ 森(もり)の奥(おく)へ逃(に)げる……」

「ワシだって本当(ほんとう)は、こんなこと……したくなかったんじゃよ」

「だったら、どうして？」

「姫(ひめ)よ、お妃様(きさきさま)にゃ逆(さか)らえぬ」

「お願(ねが)い、助(たす)けて！」

「姫(ひめ)よ、殺(ころ)すワシも辛(つら)いんじゃよ」

「それなら、私(わたし)もうお城<うち>には、帰(かえ)らないと約束(やくそく)するわ」

「それなら、ワシにも策(さく)がある。猪殺(いのししころ)して身代(みか)わりにしよう！」

そして、私(わたし)を待(ま)っていたのは……。

宵闇(よいやみ)の迫(せま)る影(かげ)が　進(すす)む道(みち)を呑(の)み込(こ)んでゆく

迷(まよ)い込(こ)んだ見知(みし)らぬ森(もり)の　小(ちい)さな可愛(かわい)いお家(うち)

「おいらの寝床(ねどこ)で誰(だれ)か寝(ね)とるんげん！」

『マジで！？』

「死(し)んでがると？」

「いんや、まだ生(い)きてりっひ！」

「皆(みな)、どうするんべるく？」[!--empirenews.page--]

『う～ん』

「こういう場合(ばあい)は大体(だいたい)王子様(おうじさま)が接吻(せっぷん)すればいいーねん」

「ひゃー！」『お～！！』

「って、誰(だれ)かこの中(なか)に王子様(おうじさま)はいるんしゅたいん？」

「……いや、この際(さい)おじ様(さま)でもいいんじゃね？」

『それだ！！』

寝起(ねお)きも超(ちょう)スッキリな美少女(びしょうじょ)、私(わたし)の目覚(めざ)めを待(ま)っていたのは、

可笑(おか)しな訛(なま)りを持(も)った七人(しちにん)の愉快(ゆかい)な小人達(こびとたち)で、

その後(ご)、狡賢(ずるがしこ)い継母<はは>の謀略(ぼうりゃく)により、幾度(いくど)か死(し)にかけたが、

その都度(つど)、奇跡的(きせきてき)に復活(ふっかつ)し続(つづ)けたのであった！

「もし、」

「ごめんね、お婆(ばあ)さん。

どんな人(ひと)も、家(うち)へは、入(い)れちゃいけないのよ……」

「留守番(るすばん)かい？偉(えら)いねぇ！

さぁ、真っ赤(まっか)に熟(う)れた林檎。お前(まえ)さんに１(ひと)つあげよう、ほれ！」

「ごめんね、お婆(ばあ)さん。

いらない。私(わたし)何(なに)も、貰(もら)っちゃいけないのよ……」

「あらまぁ、心配症(しんぱいしょう)だねえ！

そのとなりゃ、抱(だ)いてる疑惑。この婆(ばあ)と２(ふた)つに分(わ)けよう！」

抗(あらが)えない　誘(さそ)ってる悪魔　７(なな)つめの罪(つみ)は蜜(みつ)の味(あじ)

「いただきまーす！」

「鏡(かがみ)よ鏡(かがみ)……此(こ)の世界(せかい)で一番(いちばん)、美(うつく)しいのは、誰(だれ)なのかしら？」

「其(そ)れは貴女(あなた)――《王妃様》！」

「なるほど。それで君(きみ)は騙(だま)されたわけだね？

ならば、ある男(おとこ)の特殊(とくしゅ)な性癖(せいへき)を君(きみ)の復讐(ふくしゅう)に利用(りよう)してみようか

さあ、もう暫(しば)し。運命(うんめい)の相手(あいて)は夢(ゆめ)の世界(せかい)で待(ま)つものさ」

「硝子の棺で眠る姫君」

Lyrics,Composed,Arranged by Revo

Vocal 黒沢ともよ Jimang MIKI

僕(ぼく)の理想(りそう)の花嫁(はなよめ)は　何処(どこ)に居(い)るのだろう？

嗚呼(ああ)　西(にし)も東(ひがし)も　北(きた)も南(みなみ)も　雨(あめ)にも負(ま)けず　風(かぜ)にも負(ま)けず

捜(さが)したけれど　見(み)つからないのさ

未来(みらい)に開(ひら)く　少女(しょうじょ)も

過去(かこ)に開(ひら)いた　老婆(ろうば)も

蕾(つぼみ)も花(はな)も　生(い)きとし生(い)ける　全(すべ)ての女性<人>(ひと)を　愛(め)でても尚(なお)　見(み)つからない[!--empirenews.page--]

宵闇(よいやみ)の迫(せま)る陰(かげ)が　進(すす)む道(みち)を呑(の)み込(こ)んでゆく

迷(まよ)い込(こ)んだ見知(みし)らぬ森(もり)の　小(ちい)さな可愛(かわい)いお家(うち)

儘(まま)、閉(と)ざされた硝子(がらす)の中(なか)で、眠(ねむ)るように死(し)んでる君(きみ)は、

誰(だれ)よりも、嗚呼(ああ)、美(うつく)しい。やっと、見(み)つけたよ！

「《小人》(Zwerge)達(たち)よ、その死体(したい)を私(わたし)に譲(ゆず)ってはくれないか？」

「こいつ」

「どう」

「見(み)ても」

「王(おう)」

「子(じ)」

「様(さま)」

「だし」

「いいんじゃね？」

「さあ、もうすぐあのフードがやらかすぞ」

「お前(まえ)たち、くれぐれも慎重(しんちょう)に運(はこ)ぶように」

「はい、殿下(でんか)！」

「ああーっ！」

「うわあー！」

「さあ、復讐劇(ふくしゅうげき)の始(はじ)まりだ！」」

魔性(ましょう)のは肌(はだ)は白(しろ)く　黒曜(こくよう)の髪(かみ)は黒(くろ)く

焔(ほのお)のように赤(あか)い唇(くちびる)

妬(や)いたのが　お前(まえ)の罪(つみ)なら

灼(や)けた靴(くつ)で――

死(し)　ぬ　迄　(まで)　踊(おど)　れ　！

「なーにそれえ？　

もっと上手(じょうず)に踊(おど)ってくださらない？

せっかくの可愛(かわい)い娘(むすめ)の婚礼(こんれい)なのよお？」

「なんてことだ…」

「鏡(カガミ)ヨ鏡(カガミ)、メル鏡(カガミ)

コノ世界(セカイ)デ一番可愛(イチバンカワイ)イノハ誰(ダレ)カシラ？」

「もちろん、それはエリーゼ姫(ひめ)さ」

「本当(ホントウ)！？嬉(ウレ)シイ！」

終わり